2016年 01月 07日
郷愁は憧憬につながるのか 子供の頃に見慣れた姿・物に心が動きます。まあ、歳を取ったということです。 ここでは「竹」です。 漁師場では、竹が万能の材料で、丸けて定置網の浮きにしたり、水平に並べて網干場のステージ、荒縄で縛って足場を作ったりと。 そして古くなった孟宗竹は、磯で燃やされるか、夏休みに子供の筏に使われます。 漁師の子は父親から、ぞうさもなく筏を作ってもらうのですが、私の父は在所ではめずらしく漁師ではなく、勤め人。 漁師の材料である竹を気軽に使える立場ではありません。 夏休みには颯爽と海を蹴る仲間の筏を羨ましく眺めていたものですが、小学4年生だったでしょうか、母が近くに住む漁師の叔父にそれとなく頼んだのでしょう、叔父さんに頼んでみろと母から言われ、意を決し叔父の家に行き、ランニングシャツの裾を握りながら、「作ってくれぇ」と声を掛けると、即座に「よ~し」。 叔父はノコギリと金槌を持ち出し、潮で枯れた孟宗竹を4-5本並べ、所どころを板で上下に帯で挟んで釘打ちし、ちょっと小ぶりの、長さ1.8m、巾0.5mくらい、中央にちょこんと小さな椅子まで付けて、オールは赤いペンキで塗られたマイ・ボート(ラフト)が誕生したのでした。 今は定置網の浮きもプラスチックに替わり、網干場はコンクリートとなり、竹を使うこともなくなりました。 あの頃の夏は、今に想えば、夢のような日々でした。
by eastcoast92
| 2016-01-07 22:52
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